Where the Sun Rises

あなたのことを覚えておくために

『Season of Love』、それは天使の響き

 

はじめに

言わずと知れた珠玉の名盤『Prism』の中で燦然と輝く、植草克秀さんのソロ曲『Season of Love』。
植草さんのソロ曲は基本名曲しかないと思っていますが、この曲はわたしの中の不動の第1位です。今回は、この素晴らしい楽曲に対してわたしの思うところを言語化できるかぎり書き連ねてみたいと思います。
※毎度の事ながら自己満度高めです。考察とかは「ふーん、そんな考え方もできるか~」ぐらいに軽く捉えていただければ嬉しく思います(笑)

 

 

Season of Love 

 (作詞:陣内大蔵・山中耕作 作曲:陣内大蔵 編曲:秋元直也

 

◎イントロ

遠くで鳴り響くような鐘の音を合図にこの曲は始まります。これから起こる恋の物語を予感させるようで、なんだかわくわくしてきませんか?
ドラムの入りが、「さぁ行くよ!」って手を取って一緒に走り出してくれる感じがして、とても好きです。
シャンシャン鳴り出す鈴の音が、か、可愛い!!!これがこの曲をきらびやかで幻想的に、そして歌い手の彼にふさわしくチャーミングな曲にする鍵になっていると思います。

 

◎1番Aメロ~Bメロ

強がっていた 都会の日々が
まるで嘘に 思えてくる
真っ白な世界だね
目の前にある パノラマ映す
澄んだ心 取り戻せば
滑りだしてゆけるよ

この曲が描く情景が目に浮かびます。やさしく語りかけるような植草さんの歌声が、聴き手をこの「真っ白な世界」の中に引き込んでくれる感じ。
「強がってい」「目の前にあ」のような、語尾で音程が上がって終わるワンフレーズにおいて、植草さんの語尾のおさめ方はとても心地よいと感じます。『君だけに』の冒頭「君だけ ただ君だけ」なんかもそうです。

 

意外だなんてことも 大胆なことも
ゲレンデの恋人に 輝いて見えるよ  

少し音域の上がったBメロ。ゲレンデに例えるならリフトの役割でしょうか(?)
「見えるよ」で一音ずつのぼっていくのに加え、最後の”よ”の2音タイで一気に押し上げる感じが勢いをつけていて、サビへ向かい滑り出す準備は万端です。

 

 

◎サビ 

冬は風を連れ 僕は君を連れて
かけぬけて行くよ 果てしない夢の続きに

やっと二人は滑り出しました!!!お待ちかねのサビです。実はサビ前の「よ」の最後の音より低い音から、サビの頭は入っています。いったん下げて、「ふー↓ゆは↑」と一気に上げることで、目の前が一気に明るくなる感じが出ているのかなと思っています。
植草さんのソロパートやソロ曲にはとにかく、音と音の大きな跳躍が多用されている印象があります。ここでは「冬は」「行くよ」の部分。そして、難しいといえるその音程をしっかり当ててくるのが植草さん…!

雪は時を包み 僕は君を包む
優しさの中で
今は真っただ中 Season of Love

なんて柔らかくてきれいな歌詞! 聴き手の心まで包み込むような植草さんの歌声とも相まって、真冬が舞台の曲にもかかわらず、すごくあたたかい気持ちになれる気がします。
どこまでも伸びるような"Love"のロングトーン、聴いていて本当に気持ちがいいです。ビブラートも大好き。

音楽的な話をすると、"Love"の頭をFにしてサビを終わらせるんじゃなくて、Fsus4をワンクッション挟んでから解決するのが、めちゃくちゃ気に入ってます。手法自体は珍しくありませんが、ここではとても効いてる。
(※読んでくださってる方の中に「FとかFsus4って何?解決とは??」という方がもしいらしたら…と思い、軽く解説しますね。
"Love"の伸ばしてる音は全部で8拍なんですが、最初の4拍の部分は「Fsus4」と呼ばれる、少し複雑で不安定な響きの和音が使われています。このままではサビ終われないよ!みたいなモヤモヤする感じを与えておいて、最後の4拍はシンプルでほっとする響きの「F」の和音で落ち着かせて、やっとサビが終わった〜ひと安心!となるわけです。こうして落ち着かせることを「解決する」といいます)

 

 

◎2番Aメロ~Bメロ

重ね着しても 心踊れば
語り合える 分かり合える
もっとそばに寄りなよ
大切なもの 抱きしめ合えば
涙なんて 雪に溶けて
笑い飛ばせるだろう

2番に入ると、二人の距離が物理的にも精神的にもかなり縮まっている感じがしませんか?1番の時は特に距離感の描写はなく何も思いませんでしたが、今振り返るとその時の二人はなんだかぎこちなかったような気がしてくるから不思議です(思い込み?)。
1番にはなかった、ソプラノサックスによる対旋律がここで満を持して現れます。歌声を聴きたい気持ちは山々ですが、一度ぐっと我慢して伴奏だけに耳を傾けてみてください。わたしはこの甘くとろける音色が大好きです。

 

期待通りのことも 奇蹟さえも起こる
ゲレンデの恋ならば 精一杯咲かせて

「咲かせて」で一気に盛り上げて、サビで一気に視界が開ける感じがやっぱり良い。

 

 

◎サビ

1番サビのリピートです。
2番Aメロで躍り出てきて、Bメロで少し影を潜めたソプラノサックスが再び華を添えています。華やかな音色ではありますが基本的に下降系をとる対旋律なので、ほんのりと胸をしめつける切なさや儚さも感じられる気がする。そもそもこのサビ自体、ベース音が下降するいわゆるカノン進行ですしね。そこからうっすらと生まれる物哀しさは、キラキラした鈴の音や、あたたかみのある植草さんの歌声とは対照的な要素だなと思います。このどこか寂しい感じから、ただ今「ゲレンデの恋」真っ最中の二人はゲレンデをあとにしたらどうなるのだろう、なんていらない心配が浮かんできたりして…(笑)

◎Cメロ~間奏

満天の星空を仰ぐ
祈りを込めて 願いを込めて

おそらくこの8小節、暗めの響きをもつマイナーコードが一度も使われていません (わたしの分かる範囲ではD♭→D♭→E♭→E♭→F? それかもう少し複雑かもしれません)。安心する、ほっとするような明るい響きのメジャーコードの連続はつまり、幸せの象徴であるといえるかも?先ほどの心配は無用かな?よかった〜(誰目線)

 

間奏に入ると、まずガラッと曲調が変わって教会音楽のような8小節。イントロ冒頭を思い出させる鐘の音も響いてきます。
そしてまたポップスに戻るんですが、そのきっかけになるドラムの入りが本当に好きです!イントロのドラムの入りと全く同じ理由なんですけど、走り出す感じが良い。ここから先はもう本当に、可愛いの一言に尽きる!個人的にわたしはこの箇所で、若い恋人同士の二人が一面の銀世界を軽い足取りでスキップしてる画や、トナカイがサンタさんとプレゼントを載せたソリを引いて雪の中を駆ける画が目に浮かびます(笑)

 

 

◎ラスサビ

冬は風を連れ 僕は君を連れて
かけぬけて行くよ 果てしない夢の続きに
雪は時を包み 僕は君を包む
優しさの中で 今は真っただ中にいる

1番2番のサビと全く同じ歌詞なので、ここでも同様に「今は真っただ中 Season of Love」と歌って一度フレーズを終わらせて、"Love"のロングトーンに続きをかぶせる方法(伝われ)もあったと思うんですが、あえて「今は真っただ中にいる」というこれまでと違う新しい言葉をもってきたことによって、次の言葉への期待が高まるのかな、と考えます。この曲はもう何度も何度も聴いてるので、この続きは知ってるにきまってるんですが、それでもここは聴く度毎回わくわくするポイントです。

君にあげる愛 僕にくれる愛に
いとおしさが増す
今は真っただ中 Season of Love

ラスサビ、それも最後の最後に初出の歌詞がくるパターン、良いですね!!!とどめの一発的な。
「いとおしさが増す」この曲の中でも一番あたたかくて、一番好きだなと思うフレーズです。もう本当に、植草さんはこういう歌詞が似合うというか、歌ってほしい世界観そのものというか… 聴いてる側も思わずいとおしさがこみ上げてきます(すぐ感情移入する人)。

 

 

 ◎総評

5分46秒の恋物語。これにて完結ですが、この二人はきっとこの冬が終わり季節がまた巡っても、ずっと一緒にいられるんだろうな…と思わせてくれるような、甘く幸せな余韻が残ります。ほほえましい。自担がソロでは悲恋系orなんか色々こじれてる系恋愛ソングばっかり歌ってるわたしからすると、非常にうらやましいです(やめなさい)

とにかくこの曲は、植草さんの歌声といい間奏部分の教会感といい、天使のような響きにあふれていると思いました。幸せを運ぶキューピッドみたい!

 

 

おわりに

ここまでお付き合いくださった方、ありがとうございました!

わたしがこの曲の虜になってから1年が経とうとしています。1年間飽きずに聴き続け、考え続けていたことを数時間で文字に起こしたのでやや粗削りな部分もありますし、音楽的考察は(相も変わらず)間違ってるかもな~という不安もありますが(笑)ブログを始めて以来ずっと書きたかったテーマのひとつだったので、書いていてとても楽しかったです。いつも楽しいけど(笑)

当方ヒガシ担ですが、自担の声が全く入ってなくてもこれだけ好きになれる曲があるって、なんかいいなぁと思いました。

やっぱり、少年隊は最高だー!!!