Where the Sun Rises

あなたのことを覚えておくために

季節外れもいいとこだけど『ひとりぼっちのクリスマス』の話がしたい

 

はじめに 

ずばり、タイトルの通りです!!!

 きらきら光る名曲を集めた宝箱のようなミニアルバム『PARTY』から、東山紀之さんのソロ曲『ひとりぼっちのクリスマス』。この曲に対する、いちヒガシ担の独断と偏見に満ちた感想をお送りします。ちなみにちゃんとした全曲アルバムレビューはそのうち、今年のクリスマス前にでも記事にする予定でいます…!(たぶん)

 

ひとりぼっちのクリスマス

(作詞・作曲:宮下智 編曲:服部克久

 

◎イントロ~1番Aメロ

イントロのストリングスがさっそくちょっと泣かせてきます。でも、これからこの曲が始まるなって、少しだけわくわくする。

My Love いつも夢の中では
あなたを腕に強く 抱きしめているはずなのに

今作も安定の、想い人がそばにいないパターンであることが判明しました。タイトルからもうわかっちゃいるんですが、東山さんソロ曲ではこれが通常運転。

My Love 言葉にならぬ愛を
もてあまし続けてる
内気なピエロ それは僕の事なんだね

なんと二人称が「あなた」ときました。「君」じゃないところがミソだと思ってます。言葉にできない思いが心の中でずーっとくすぶってる、そんな状況で「君」だなんてとても呼べやしないよ…とでも思っていそうな内気な「僕」がいじらしいです。

ていうかこの曲のBメロってどこですか?よくわからないので、便宜上(?)サビ前はAメロとしてまとめてしまいました。違っていたらすみません。

 

◎1番サビ

One Thousand Love
One Thousand Memories
クリスマスキャロル 街にこだまして

サビの最初の小節でサウンドが一気に広がる感じが好きです。讃美歌を思わせるコーラスも良い感じ。その盛り上がりと対照的に、メロディーラインを"Love"で落ち着かせて、"Memories"でもっと落として、「クリ↑ースマス♪」で一気に持ち上げるのがビックリするけど面白い。
CD音源なんて何度聴いても同じなのに、ここの高音はいつも「当たるか?当たるか??がんばれ!」と、応援しながら聴いてしまいます。『STRIPE BLUE』の「てんきあーめ♪」を聴くときと同じ気持ち(笑)

One Thousand Love
One Thousand Memories
ひとりぼっちの Merry X'mas to you

 なんといっても"Merry X'mas"の"mas"の部分がいい。ぶら下げてる感じ?脱力感?とでもいうのでしょうか、なんかため息みたい。そのあとの"to you"をぽつりとつぶやく感じも好きです。

ため息みたい で思ったんですけど、もしこの曲にMVがあったら、コート着てマフラー巻いた東山さんがうつむいてため息をつくのを、横もしくは斜めから撮ったカット(細かい)が120%入ってると思うんですよ。真冬の空気の冷たさで、ほっぺたとか鼻の頭がほんのり赤くなってるとなおいいです(何の話?)。
それからせっかくなのでサビ前には、街中で子どもに風船やなんかを手渡してるピエロをぼんやり眺めてる東山さんのカットも入れましょう。

 

◎2番Aメロ

My Love 地下鉄の改札で
瞳交わす恋人
ワインに洒落たプレゼント

クリスマスといえば!の、有名なCMをも彷彿とさせる光景。(この曲ができた当時にはまだそのCMは世に送り出されてませんが…) 改札近くで立ち話してる男女って、それぞれにドラマがあると思ってます、勝手に。

My Love あなたに似たセーター
あなたに似た髪形
驚くピエロ それは僕の事なんだね

このフレーズの破壊力たるや。「あなた」呼びなのがここでめちゃくちゃ効いてます。
そこにいるはずもないのに、なんとなく外見が似た人を見つけて勝手にドキドキしちゃうことありますね。そういう瞬間って、過去になったはずのその人が自分の心の中にまだちゃんといて、自分はその思い出にまだすがってるんだ、って実感してつらくなる瞬間でもあったり。

 

◎2番サビ

One Thousand Love
One Thousand Memories
ジングル・ベル 妙に悲しいよ

ジングル・ベルって、あんなに明るい曲なのに。どんな明るいメロディーも、それを受け止める心に余裕がなければ、ただ悲しくむなしいものになってしまうんですよね。
それに加えて東山さんが口にする「悲しいよ」は、こんなにも切ない。胸がきゅっとなります。

One Thousand Love
One Thousand Memories
肩先だけの Merry X'mas to you

私だけかもしれないんですけど、ここの"Love"と"Memories"、若干ビブラートに挑戦してるように聴こえるんですよね(単にバックの伴奏との重なり具合で声が揺れてるように錯覚してるだけかも。低音でちょっと聞き取りづらく確信はもてませんが)。東山さんは錦織さん・植草さんに比べるとビブラートのイメージがあまりないので新鮮。もし本当に挑戦してたら、なんかこう、とんでもなくいとおしいです(おこがましい)。

「肩先だけの」これがまた、切なさを増すことば。もしも「あなた」に想いが通じていたなら、「僕」は「あなた」のその肩どころか身体ごとすっぽり、夢の中でそうするように(1番Aメロ参照)抱きしめることだってできたかもしれないのに。 けれども現実の「僕」は、肩先にそっとつぶやくことしかできないんだろうな。

 

◎間奏

この間奏はこの曲におけるCメロに相当すると思います。ボーカルはないけど、とっておきの見せ場という感じ。
なんてったって、ピアノのトリルがいい。パイプオルガンの音こそ使われてないものの、教会にいるような気持ちになります。間奏終わりがけの締めのフレーズも印象的。クラシックか何かからのオマージュか?

 

◎ラスサビ

 1番サビのリピート。

今度の「クリ↑ースマス♪」は、ちょっとビックリしなくなったかな(笑)ちょっとだけ、がならなくなりました。それから、「こだまして」の「て」がわずかにゆらぐのが好き。
これもまた気のせいかもしれないですが、「ひとりぼっちの」と"Merry X'mas"の間に、わりとはっきりめのブレスが聞こえるような気がします。イヤホンでものすごく音量上げてやっとわかるかな?レベルなんですけど… ああ、がんばって歌ったんだなあって、なんか心が動きます。確かにこのサビは難しいね。

 

【総評】

東山さんのウィスパーボイスが天才的にこの曲にマッチしているのは明らかです。22歳・デビューから2年が経ったアイドル真っ盛りの彼と、豪華な制作陣のタッグが残したこんな素晴らしい楽曲、入手困難なミニアルバムの中に埋もれているにはもったいない!!!
1987年のクリスマスに、こんなほろ苦い曲を歌った東山さん。時は流れて1993年、『愛は続けることに意味がある』でのソロ曲は『君のいないクリスマス』。またひとりなのね…… 

 

 

おわりに

ここまでお付き合いくださった方、ありがとうございます!

前回『情熱の一夜』を書いてからずっとやりたかった「1曲で3000字シリーズ」(勝手にシリーズ化)がまたやれて、自己満ですがとっても楽しかったです。また何かやりたいな~!