Where the Sun Rises

あなたのことを覚えておくために

アルバム『PLAYZONE’89 Again』

 

 

はじめに

1989年9月21日リリース。同年のPLAYZONE『Again』の劇中歌と、幻想のシーンの楽曲から12曲を抜粋したアルバム。

 

www.johnnys-net.jp

 

ただいまPLAYZONE履修中のわたしですが、特に楽曲の良さに惚れ込んだ作品のひとつが『Again』。PLAYZONE関連のCDアルバムの中で最初に手に取ったのがこれでした。

 

PLAYZONEの映像を見た感想や考察なんかも書けたらよかったのですが、演劇に関する知識が乏しいのと、わたしがある程度の熱量を持って書けるのはやっぱり音楽についてだな…と考え、楽曲にフォーカスしてみたいと思います。わたしって多分楽曲オタク。

 

 

※以下、ミュージカルの軽いネタバレを含みます。未見の方はご注意ください!

 

 

  

 

01.まいったネ 今夜

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

このミュージカルのテーマ曲!PLAYZONE開幕に先がけて発売された、少年隊14枚目のシングル表題曲でもあります。88年11月発売『じれったいね』に続いて、パワフルでキラキラしたアイドルの「その先」の在り方を示した曲になっていると思います。最初のトラックはショートバージョンなので、詳細は11曲目の項で。

 

 

 

02.My Dear Mrs. Las Vegas

(作詞:戸沢暢美 作曲:中崎英也 編曲:鈴木宏昌

錦織さんのソロ曲。2曲目にしてもうメインディッシュのような、大好きな曲がきちゃいました(笑)最初のパーカッションの入りだけでもうワクワクするんですよね~。イントロドンなら多分わたしこの音だけで答えられます(?)心地よくスウィングしたくなるイントロ。

Aメロの歌詞で情景描写はばっちり。戸沢暢美さんの歌詞はどれも、説明っぽくないきれいな言葉で曲の世界観にスッと導いてくれる気がします。『だんぜん愛さ』とか。

わたしはこの曲のサビを聴いてると、錦織さんが微笑みながら歌ってるさまがリアルに目に浮かぶんです。それがまた切ない。

「生きていることを 感じたいのと」の「感じたい」の"ん"がなんだか甘くていいなと思います。錦織さんの発音は日本語・英語を問わずどうもわたしのツボを突いてくる… 彼は歌詞の発音が明瞭なので、初見の曲を歌詞を見ずに聴いてもだいたいわかるからすごいなと思います。

ラスサビの"Just like a moonlight cinema"で一気にたたみかけてくる感じが好き。でも、これが来るともうじきこの曲が終わっちゃうなあって寂しくもなります。

この曲の世界観に浸ると、郷ひろみさんの『ハリウッド・スキャンダル』を聴きたくなったりします。

 

 

 

03.キッチン!

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

東山さんのソロ曲。これも大好き!儚い歌声時代の東山さんが歌ったからこそ輝く曲だと思います。もうね、好きすぎてとろけそう…(とろけるのはシチュー)(私がとろけてどうする)

イントロの旋律を奏でる印象的な音色はオーボエという楽器(※私の耳調べ)。オーケストレーションが神!

「ある晴れた日曜の朝 突然 愛してるのと聞く 君はまだ少女」この彼女、可愛すぎやしませんか。キュンとする甘酸っぱさ。

「さあねと照れる僕を見て 吹き出す」あー可愛い(語彙力喪失)。幸せなふたりだなあ… 東山さんのソロ曲にはこんな100%幸せソングは少ないと思うので非常に感慨深いです。映像の話になるんですが、ここを歌うとき「さあね」で東山さんがちょっと肩をすくめているのがたまらなく好きな仕草です!!あとここだけの話、「吹き出す」でちょーっとだけ音程があやしくなるのが非常にツボ。探り探りな感じ。

「昨日見た映画のヒロインをまねる」「洗いざらしエプロン姿が さまになってきたとご満足」えっ、このお嬢さんったらもう本当に愛らしい…「もし結ばれたなら君を 世界で一番幸せにしたいのさ」うん、わかる。一生守りたい。

 

 

 

04.Baby Baby Baby

(作詞:久和カノン 作曲:安田信二 編曲:岩崎文紀)

シングルカットされてないのがもったいないくらいの名曲!大人の魅力を増してきた頃とはいえ、彼らはちゃんとアイドルなんです!と声を大にして言いたくなる曲です。

どうやらわたしは、車の中を舞台にした曲が好きらしく。少年隊じゃないんですけど、Winkの「愛が止まらない ~Turn It Into Love~」とか、杉山清貴&オメガトライブの「ガラスのPALM TREE」とか。車の中っていわば密室で、運転席と助手席の距離が近いからかな、こんな曲たちを聴いているとなんかドキドキします。

サビになるたびに錦織さんの上ハモが好き!!!となります(語彙力喪失再び)。基本的に錦織さんの歌はいつでも安定感がすごい。

「横顔がキレイ」と歌う植草さんの声が、いつもの歌声とちょっと違う大人な感じがして好きです。短いパートだけど、とっても耳に心地よくて。そういえば少年隊って、3人揃って本当に横顔美人ですよね…!

終盤のサビの繰り返しで、伴奏の音数が少し減ったところで唐突に東山さんがソロになりますよね?ここでソロになるのか!と軽く意表を突かれました。

何回Baby言うんだ!って初めて聴いた時こそ思いましたが、何回も聴けば慣れるものですね(笑)

 

 

 

05.独り祭りの夜に

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

植草さんのソロ曲。劇中で植草さん演じるケンが、病を抱えるひとりの少女の生きる気力を取り戻すという使命を果たしたシーンの後に歌う曲です。

出だしのキラッとしたストリングスが良い。出だしだけでなく、間奏やAメロ終わりからBメロの裏にかけても聴きどころです。また、イントロを聴くとはっきり分かるように、ベースラインも面白い動きをしています。この曲全体を通して活きがいいベース。

「人はいつでも 美しい神話を願いながら 生活の渦の中へと 流されるものだから」すごく共感します。いつでも夢を見ていたいけど、結局日常ってそんなものですよね。

 

 

 

06.君は不思議

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

錦織さんのソロ曲。劇中、ひとりの少女に恋心を抱いたリュウが歌い踊る曲です。

この曲の音域の広いこと。Aメロ→Bメロ→サビと徐々に音域が上がっていき、Aメロとサビの差はかなり大きいですが、さすがは錦織さん。しっかり歌い上げています。

「君は誰だよ?」いや錦織さん、こっちの台詞なんですが!天は二物を与えずといいますが、二物どころか三物も四物も与えられてしまったあなたは何者なんですか。

 

 

 

07.ダーティー・ヒーロー

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

PLAYZONEの見どころのひとつといえば、東山さんのソロダンスナンバー!バリッバリに踊る曲ですが、歌声はちょっと鼻にかかって甘いのがたまらないギャップ。

この曲のイントロ、イヤホンで聴くとくすぐったくないですか?(笑)パーカッションが左右でポコポコしてて。

そのパーカッションがこの曲の大きなポイントだと思っています。ここで用いられているのは、一般的なドラムとは少し異なる「トムトム」と呼ばれる打楽器(※私の耳調べ)。

トムトム(tom‐tom)は、スナッピー(響き線)のない中型のドラム。膜鳴楽器に分類される。

トムトム - Wikipedia

 

youtu.be

単体で聴くとこんな音がします。スネアドラムを含む一般的なドラムセットとは違うサウンドにしてもこのドラマーさん凄いな!

 

この音色を効果的に用いたアレンジはおそらく、ウエストサイド・ストーリーのプロローグを意識したのかな?と推測してます。あまりにも有名な場面ですが、以下の動画の3:55~辺りから打楽器の音に耳を傾けてみると、似た音がしませんか? 

 

www.youtube.com

 

最初にこの『ダーティー・ヒーロー』を聴いたときはタイトルも手伝ってか、てっきり既存の洋楽に日本語詞をつけたものかと思ったのですが、その洋楽っぽさはもしかしたら、ここからきていたのかもしれません。

 

 

 

08.恋はいつも

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

植草さんのハニーボイスを堪能できる一曲!いや、黄色のミルクチョコレートボイスとでもいうべきでしょうか。普段は高音の伸びが素晴らしい植草さんですが、ここでは低音がとても素敵。語りかけるような優しい声に癒されます。

「君は少し 驚いたように」の、語尾の上がりきらない感じがレアでいい感じ。

スロージャズなアレンジが絶品。約2分半と短い曲なのがもったいない…!ずっと聴いていたいし、なんならこのまま眠りに落ちたい。

 

 

 

09.Let's Fight

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

錦織さん・東山さんによるダンスナンバー。劇中では、リュウがジョーを挑発して、弟分を従えて激しく争う場面で歌われます。なんともスピード感のある曲。

めちゃくちゃ喧嘩してるはずなんですが、「闇をつらぬいた~」の二人のハモリは喧嘩するどころかめちゃくちゃ綺麗です(笑)少年隊の上ハモvs下ハモ。

 

 

 

10.Season

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

壊れた車をみんなで修理する場面。犬猿の仲だったリュウとジョーの関係が、ケンの存在も手伝って、少しずつ変化しようとしているシーンで歌われる曲です。不愛想だけどなんやかんや手伝ってくれるジョーがかっこいい…

そこはかとなくあふれる歌謡曲感。短調の切ない響きにのせて3人が苦しい胸の内を歌います。

わたし、錦織さんのビブラートがすごい好きなんですよね。小手先だけのビブラートでなく、歌声そのものが朗々と響く感じが良い(生で聴いたことはないんですけど多分響いてる、はず)。

ソロパートの歌い継ぎを経て、3声のハーモニーが美しいユニゾンで締めくくられるところが好きです。

 

 

 

11.まいったネ 今夜

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

初めて聴いた時、イントロだけでこれは名曲だ!と確信しました。ウッドベースの音がもうめちゃくちゃ好き… イントロだけじゃなく全編にわたって、THE JAZZ な音色が響いてます。

「銀色〜の〜リムズィンに♪」やっぱり癖になる(笑)ちなみにこのリムズィン、2018年に東山さんが出演したMステ*1のパフォーマンスでも健在でした。

植草さんの「みんな持ってるのに」の "に" !『君だけに』の歌い出しの "に" と並んでとっても好きなポイントです。大きな跳躍でもがならず語尾をしっかり収める、さすが植草さん。

「愛だけが足りないね」の直後、キメのリズムと「Ah」がサビへの緊張感、高揚感を演出してると思います。

「憎いくらい悩ましい」からすぐさま「少しポーズをつけながら」の低音パートに入るのがドラマティック。高低差はドラマを生みますね。伴奏が一瞬の間をつくっているのも、聴き手をドキッとさせる仕掛けでしょう。とにかくこの曲は、高低差や間を使ってうまく緩急がつけられている印象です。

 

 

 

12.お探しのパラダイス

(作詞・作曲:宮下智 編曲:石田勝範

軽快なテンポとキラキラしたサウンド、「ライムの香りが朝を満たし」なんて爽やかな情景が目に浮かぶ歌詞から始まるのに、どこか寂しくなる。そんな、ミュージカルの名残惜しいラストを飾るにふさわしい曲です。

初めて聴いた時「とっておきの島から あなたに書くレター」を「時計を気にしながら あなたに隠れた〜ぁ〜」だと思ってました…… 少年隊の曲ってそんなに空耳することないけど、恥ずかしながらこれには騙されてました(笑)

若干話がそれますが、「疲れてしまったのなら ここがあなたのパラダイス 早くおいでよ P.S. I love you」「僕があなたのパラダイス」これらのフレーズが彼らのアイドルという職業を象徴している気がするんです。アイドルって、夢を売る職業ともいえるし、誰かの癒しや心の拠り所といった"パラダイス"になり得る存在ですよね。時にはファンのために「P.S. I love you」のような甘い言葉を投げかけたり。とはいえアイドルだって人間だから、24時間365日キラキラした存在でいるなんて有り得ないはず。ずっとそんな仕事をしていたら、疲れることや苦労も人一倍多いと思います。常に他者の理想を押しつけられがちなアイドルという大変な職業を誰一人途中でやめずに、ずっと少年隊というかたちを保っていてくれている3人には感謝しかありません。

すみません、大脱線しました!

サビの最後の締めのフレーズ「P.S. I love you」が、短調のもの哀しい響きで終わるのがポイントだと思っています。手放しに明るく終わらないわけはこの暗めの余韻でしょう。

 

 

 

 

 

おわりに

毎度の事ながらまとまりのない文章でしたが、最後までご覧くださった方、ありがとうございました!

曲によって文量のばらつきが大きくなってしまいましたが… ちょっとしか触れていない曲は嫌いな訳じゃなくて、客観的分析が難しい曲でした。

このアルバムの曲、「My Dear 〜」と「Baby Baby Baby」以外は全部宮下×石田コンビでつくられたんですね。よくもこんな名曲たちをポンポンと…! 素晴らしいの一言。

 

…でも、ひとつだけ声を大にして言いたいことがあります。どうして『19times』が入っていないんですか!?

 

 

 

*1:2018年9月17日放送のMUSIC STATION ウルトラFES。東山紀之・King & Prince・ジャニーズJr.による「JOHNNYS' mini IsLAND」が披露された