Where the Sun Rises

あなたのことを覚えておくために

アルバム『PLAYZONE'94 MOON』

 

はじめに

1994年6月17日、ミュージカルの開幕に先立ってリリースされたアルバム、『PLAYZONE'94 MOON』。

 

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偉大なシンガー・森山良子さんをヒロイン役に迎え、劇中にもミュージカルやその稽古のシーンが散りばめられているだけあって、劇中歌のクオリティはPLAYZONE史上屈指だと思います。

さらに作詞は全曲、脚本を担当された井沢満さんによるもの。日本語の響きが美しいです。

※念の為、PLAYZONE本編ストーリーのネタバレはありませんのでご安心ください

 

 

 

 

1.MOON -MAIN THEME-

(作詞:井沢満 作曲:清岡千穂 編曲:若草恵)

壮大なオーケストラ調のアレンジが印象的です。これ、生演奏だったら素敵だろうな… 冒頭のハープの音色と、「銀のしずくの靴は誰に」の直後に聞こえる対旋律のリレーが大好きです。これは泣かせる裏メロ。ところどころ聞こえるホルンのグリッサンドもクラシック感を増していて、ミュージカルの幕開けに相応しい重厚感が加わっていると思います。

全体にわたって、錦織さんがビブラートをたっぷりきかせて歌うのが聴いていてとても耳に心地いい。個人的には植草さんのソロパートをもうちょっとしっかり聴きたかったなあと思います(歌割的な問題)。

 

 

2.Zig-Zag

(作詞:井沢満 作曲:清岡千穂 編曲:松井寛

錦織さんの英語の発音が好き!というのはこれまで再三言ってますが、この曲の錦織さんは、もはや日本語英語を問わず発音がいちいちセクシー。

先ほどの1曲目を朗々と歌い上げたのと同一人物とは思えない振り幅! 歌い方というより声そのものからガラリと変えているのに、どちらも歌声として無理がないと感じます。彼が声のお仕事をされていたのも非常に納得がいきます。神は一体このひとに何物を与えたんだ…

関係ないですが、CDの歌詞カードの左ページの写真の錦織さん、「美」でしかない。

 

 

 

3.星が運んだ物語

(作詞:井沢満 作曲:清岡千穂 編曲:若草恵)

東山さん演じる伊吹と、森山良子さん演じる友浬子が劇中のミュージカルでデュエットする曲。

あの、こんなことを言うのは上から目線感が半端なくてはばかられるんですけど(でも言いたい)、東山さんの歌が本当に上手になってる。同じデュエット曲としてで比較すると、1991年のシングル、亀渕友香さんとのデュエット『ジュエル』からはものすごく進化が感じられます。低音ではちゃんと地に足がついて、表現力としての儚さはそのままに、聴いていて不安がよぎるような浮遊感がきれいに消えた感じ。音源ではボーカルに若干リバーブがかかっているので定かではないですが、ところどころロングトーンではビブラートを少しかけている感じにも聞こえます(「夢の浮き橋架け」の”け”とか…ちょっとイヤホンして聴いてみてください)。きっと東山さん、この曲を歌いこなすために相当な努力を重ねられたんじゃないかな。

「ふたり 時は輝く」から「水をたたえたこの星」へつながる壮大なクライマックスの流れが本当に大好き。いつも鳥肌が立ちます。なんだろう、この曲に関しては上手く表現する言葉がちょっと見つかりません。それくらい好きです。そういえばこの曲、PLAYZONE開幕を控えた1994年7月のMステで披露されたそうで… めちゃくちゃ観てみたかったな(私まだ生まれてないけど)。

 

 

 

4.CRESCENT -三日月-

(作詞:井沢満 作曲:清岡千穂 編曲:久米大作

東山さんの「儚い歌声期」が大好きだ!ということはこれまでのブログでもしつこいほど書いてきたのですが、この「MOON」の年で彼はついにその域を脱したとわたしは考えます。劇場で生で聴いたわけではないので断言はできませんが、ビデオやCDで比較する限り、前年の「WINDOW」よりも歌唱力の面で大いに進化していると思うのです。特に低音に深みを感じます。

なにより、高音ががならなくなった。この曲のサビは音域が比較的高めですが、歌声にハリや伸びが出て厚みのある声に変化を遂げているように思います(真面目に書こうと思ったらただの偉そうな評論になってしまった、すみません)。

この曲は正直、すごくインパクトがあるわけではないと感じますが、聴けば聴くほど味が出る系かなと思います。じわじわと好きになる曲。

 

 

 

 

5.X1 バツイチ

(作詞:井沢満 作曲:浅田直 編曲:藤原いくろう

大好きな曲です! あたたかみのある声をもつ植草さんが歌うにふさわしい歌詞とメロディー。特に歌詞には、この曲に出会った時から何度となく励まされてきました(個人的な話ですが)。なぜならわたしは不器用で、だいたい何事も一度では上手くいかないし、血液型もB型だし(笑)「人生パッチワーク 色の数だけ味が出る」は、座右の銘にしたいくらい好きな言葉です。

この曲が再び表に出ることはもうないだろうなと思っています。音源化されていてよかったな。

 

 

6.Lunatic -恋-

(作詞:井沢満 作曲:清岡千穂 編曲:倉田信雄

森山良子さんのソロ曲。

一曲の中に壮大なドラマがあるなと感じました。強い意志が聴いて取れます。

いま改めて聞いてやっと気がついたのですが、「息が止まるほど私を愛して 風の息吹よ」って歌ってるんですね。”いぶき”か…

 

 

 

7.透きとおる

(作詞:井沢満 作曲:清岡千穂 編曲:久米大作

菜緒を演じた大村真有美さんのソロ曲。お三方は参加していませんが個人的に大好きな曲なので、音源化されていて嬉しいです。まさに透きとおった濁りのない歌声、こんな声になりたいなあ。

この曲は歌詞の響きが際立ってかわいらしく、きれいですよね。「夢色信号」って言葉がお気に入り。

グラスファイバーの花」「アクリルの恋」なかなか歌詞では使われないカタカナ言葉のチョイスが絶妙!なんかキラキラして聴こえます。

カタカナといえば、「風の色 ラベンダー」「ペパーミントの街角」香りを連想させる言葉が何度も出てくるのは、菜緒の少女性を表しているのかな?なんて考えたり。

 

 

 

8.Kirara キララ

(作詞:井沢満 作曲:清岡千穂 編曲:藤原いくろう

 1曲目『MOON -MAIN THEME-』のメロディーを用いた曲。

主題歌のテンポアップしたバージョンのこの曲を聴くと、宝塚のショーのフィナーレみたいだなって思います(笑)その理屈でいくとエトワールは植草さん…!(ちがう)

間奏のギターソロが好きです。この曲のアレンジは、ミュージカルに明るくポジティブな余韻を残してくれる感じがする。強いて言うなら個人的には1曲目のメインテーマのアレンジの方が好みではありますが、そもそも大前提として元のメロディーがいい…!

「快楽の夜光虫」というフレーズが気になって、「夜光虫」を検索してみたところ、このミュージカルの世界観にとても合う画像が沢山出てきて、思わず感嘆しました。夜光虫とはなんぞや?という方、ぜひ一度検索を。とても幻想的です。

 

 

 

おわりに

久々のアルバムレビュー、最後までお付き合い頂きありがとうございます。大好きなアルバムのはずなのになぜかなかなか書ききることができず、下書きに長いこと寝かせていたのですが、このままでは腐ってしまいそうだったので(笑)ちょっと荒削りですがなんとか形にしました。全国の『MOON』ファンの皆様、こんなペラペラな感想ですみません!!!

先日「関ジャム」を観ていて思ったのですが、わたしは音楽のプロでは全然ないですし音楽経験も浅い部類に入ると思うので、やっぱりこのブログはあまり解説・批評じみたことを書くよりも、ファンとして「ここめっちゃ好き!」みたいなのを全面に押し出していこうと思いました(笑)最近、理屈っぽく書こうと頑張りすぎてた感もあるので。むしろ「ここ好き!」は、ファンにしか書けないですよね?(開き直り)

そんな感じでこれからもゆるーく続けようと思いますので、お暇な時に覗いて頂ければとても嬉しく思います。