はじめに
1993年12月1日リリース、『愛は続けることに意味がある』。
このアルバム、3人が大人アイドルとしての在り方を模索する中での挑戦作だと思っています。
前もって言いますが、今回の文章は相当とっ散らかってます。それでもいいという方がいらしたら、最後まで読んでとは言いませんので、お好きなところまでお付き合いください(笑)
01.のどもとすぎれば恋も忘れる
(作詞・作曲:尾関昌也 編曲:尾関昌也・松本浩之介)
最初の一曲がソロ曲。固定観念にとらわれない感じが良いですね。
意味深なタイトル。私はこのタイトルや歌詞の意味するところが未だによくわかっていないし、この先もわからないだろうけど、それでいいです。
この主人公って、外面や振る舞いは軽く見えても、実はとても思慮深くて、頭の中では人が思いつかないようないろんなことを考えてるような人だと私なりに思ってます。なんだかどこかの誰かさんのようですね……まさかね。じゃなかったら「のどもとすぎれば恋も忘れる」なんて結論に至らないと思うんですよ。
「人生は You! 君が思うよりも わるくないさ いいもんだよ」嫌なことがあったときやちょっと心がしんどい時にこの曲が流れてくると、少し救われる気がします。
歌詞カード最終頁の"Chorus"欄に「少年隊」の文字がありますが、バックコーラスの声の主に気付いた時は感動を覚えました。少年隊の下ハモ担当といえば東山さんですね。
これは聴きどころ、というか完全に好きなポイントなのですが(笑)「これから 愛のSympathyさがして」錦織さんの、日本語にない "th" の発音が好きで。錦織さんが歌う英語詞の大ファンな私です。
02.EXCUSE (Album-Version)
これは、解釈も好みも人によって大きく分かれると思います。
正直なところ、私はこの曲を聴くとなんともいえないモヤモヤした思いを抱えてしまうのですが、その度に「ああ、これは及川眠子先生の思うつぼかも…」とも思ってしまいます(笑)
聴きどころは、ラスサビ「逢えなくなれば 悔やむけど」のあとに「そう言ってよ」と東山さんが歌うところ。(この音源では聞こえるか聞こえないかレベルですが、歌番組だとはっきり確認できますね)私はいつもこのワンフレーズに、心臓がきゅっとなるんです。
一度は「僕は君を選べない」ともいうけれど、最後は「選ばない」で終わるところがこの曲のすべてだと思います。
03.Danceいっぱつ
(作詞:戸沢暢美ㅤ作曲:ナガハタゼンジㅤ編曲:水島康貴)
これ、思いっきり東山さんへの宛て書きっぽいですよね。歌詞を読んで思いました。「一日を無駄にできない」って、東山さんが歌うとめちゃくちゃ説得力がありますし。
サビにはシンコペーションが多用されてます。タイトルよろしく、自然に身体がリズムにのってくる感じがします。
歌番組での歌唱用にアレンジが異なるバージョンも存在するようですが、私はアコースティックなこちらの方が好みです。大人の余裕みたいなものを感じられる気がして。
聴きどころはなんといっても「崩れそうなㅤかなしみに出会うとき」から。コーラス錦織さんがド派手にメロディーを乗っ取り、いつの間にか東山さんが下ハモにまわっています。ソロ曲とは…(笑)錦織さんがあまりにのびのびと歌うので、聴いてると思わずフフっとなります。こういうの、楽しいですね〜。
「僕を変なヤツとㅤ君は思うかい」ですって?うーん、思わないと言ったら嘘になるかな。(笑)
04.愛は強いはずなのに
制作陣は『EXCUSE』と全く同じ顔ぶれ。確かに似た香りがしますね。でも、植草さんがソロで歌うことによって感じ方がだいぶ変わってくると思います。ずるさが半減されてるというか(?)
私だけだと思いますが、この曲を聴く度に思い出す曲があります。
なんとなく似通った点があるように思うんですが、何かはピンとこなくて… アコースティックな感じ?もしも、ここじゃない?って思いついた方がもしいらっしゃいましたらぜひご教示ください。
「ほんとは強くはないからㅤ誰かが必要なんだよ」植草さんの声で歌われると、心にくるものがあります…!
『Prism』の記事 の『君に降るMelody』の項で、植草さんの歌声の良さについて力説しましたが、もう少しだけ語らせてください。ものすごく変な表現になりますが、彼の歌声をモノに例えると、円柱のかたちをした柔らかいゴムだと思っていて。真ん中に空洞はなくて、輪切りにすると断面は円形になる。この時の円はつぶれた楕円じゃなくて真ん丸な円です。手触りのイメージは、ヴィ〇ッジヴァ〇ガードに売ってる、バナナのおもちゃみたいな(笑)柔らかいけど、弾力があってふにゃふにゃじゃない感じ。
要するに、厚みと丸みと柔軟性を兼ね備えた歌声だなってことなんですが、モノに例えた方がわかりづらかったですね(笑)すみません。めちゃくちゃな例えですがわたしの中ではこれがピンときているので、一応書き残しておきます。
05.お好み焼き
出ました!少年隊史上忘れてはならない曲ですね!かつてしょうゆ顔、ソース顔、ケチャップ顔とたとえられた3人による、3人のための曲。
「醤油、ソース、ケチャップ」の掛け合いの部分をイヤホンで聴くと、
左:植草さんㅤ中央:錦織さんㅤ右:東山さん
こう聞こえてきます。あれ、この並び、見たことあるな…!
東「醤油」
錦「しょーーー…あ、醤油じゃねーわ」
東「(笑い声)」
克「ケチャップ。」
しっかり笑えるポイントもおさえてます。この空気感、良いですね。
個人的に好きなのは、植草さんがなぜか一度だけ「ケチャップ」の後に笑うところ。何に笑ったのかな。
06.What is Love!
(作詞・作曲:尾関昌也ㅤ編曲:尾関昌也・松本浩之介)
この曲も『のどもとすぎれば恋も忘れる』同様、コーラスは東山さんでしょうか。
Bメロ「同じ夢をㅤ見せ合うのがㅤこわいからㅤ本音を匿(かく)してる」 「光浴びたㅤ長い投影(かげ)がㅤ淋しいとㅤ訴えかけている」で少ししんみりしてから、目の前が明るくパッと開けるようなサビに入るのがいいですね。
"hey, groomy Love!" "hey, groovy now!" の、たたみかけるような(?)リズムが好きです。なんか思わず、音に合わせて手を動かしたくなります。
錦織さんって、お洒落な歌い方に関してはピカイチだと思っています。曲に歌わされてないというか。まだ二十歳に満たない頃から、『危険な恋のムーンライト』という大人っぽい曲を完全に自分のものにして歌いこなすくらいのお人ですから、無理もありませんが。
今ふと思ったんですが、錦織さんの歌うボサノバとか聴きたいな。沢山聴いてそうだし。二十歳やそこらで尊敬する人がアントニオ・カルロス・ジョビン*1って、なかなか凄いですよね。
07.だんぜん愛さ
(作詞:戸沢暢美ㅤ作曲:ナガハタゼンジㅤ編曲:水島康貴)
ここまで、大人の男女の複雑な関係を歌ったラブソングが続きましたが、ついに幸せになれそうですよ!おめでとうございます!(?)
「One Fine Day Like a Paradise」「のどかに陽がさすベランダにㅤ君が干した僕のパジャマ」よく晴れた暖かい日の情景が目に浮かぶようです。家事に勤しむ「君」を眺める「僕」の愛おしそうな目が想像できます。
今これを読んでくださっている克担さんにお伺いしますが、この曲を聴いて平静を装うのって相当難しくないですか?当方ヒガシ担ですがときめきが止まりません。
だって、「久しぶりだぜㅤそばにきて」からの「ねぇㅤこんなのやだよねㅤ結婚してしまおう」ですよ?これ以上の幸せはありますか?自担にこんなん歌われたら間違いなくキュン死してしまいます。
「僕のシャツ着たㅤ君は台所」彼シャツですよ彼シャツ!キャー!!
植草さんの声がもう甘すぎて…糖度にするといったい何度くらいなんでしょうね(?)
聴きどころは、アウトロのスキャットだと思います。ここを聴きながらつい口ずさんだり、思わず指パッチンしてのってる自分がいたりします(笑)
余談ですが、歌詞カードのこの曲のページの左側の植草さんの表情がまさにこの曲にぴったりな気がして、つい見とれてしまいます。やっぱり笑顔が一番似合いますね。
08.君のいないクリスマス
(作詞・作曲:尾関昌也ㅤ編曲:水島康貴)
『ひとりぼっちのクリスマス』『君がいない』『フィエスタ・de・VENUS.』と並んで「”君”がいないシリーズ」だと思っています(勝手に)。
去年のクリスマスの時季、この曲にドハマりして毎日聴いてました。こっぱずかしい話ではあるんですが、これを歌ってる張本人のことなんか思い浮かべちゃったりして。「遠い距離(ばしょ)で 幸せを そっと祈るよ Merry X'mas」これは本当に、ファンとしての私の気持ちそのままで。私に言わせれば、クリスマスじゃなくても、遠いところから彼らの幸せを年中祈っています。ファンってそんな生き物じゃないですか?推しが元気で幸せにしていてくれたら嬉しい、少なくとも私はそんな気持ちです。(あれ、何の話?)
ちょうどこの曲を歌っていた頃は、10代~20代前半の儚い歌声から、聴かせる引力のある歌声への過渡期だと思っています。個人的にはこの翌年、1994年のPLAYZONE「MOON」で、歌唱力に革命が起きたように感じます。偉大なシンガー・森山良子さんとのデュエットもありましたしね。私あれ大好きです。
おわりに
これを書いていて、楽しいはずなんだけどなぜかめちゃくちゃ悩みました。『Prism』について書いたときにはとてもスラスラ書けたのが嘘のよう…曲ごとの文量もばらばらな上、相当な乱文でしたが、最後までお付き合いくださった方、ありがとうございました。
『愛は続けることに意味がある』心に刺さる言葉ですよね。
*1:Duet創刊1周年記念 少年隊写真集(1988年)より